有事法制でどうなるの?    Q&A


Q.有事法制は日本に対する攻撃から日本を守るためのものではないの?

A.違います。日米共同の北朝鮮侵略戦争を合法化するための法律です。
 昨年成立した武力攻撃事態法では、その第二条で「日本に対する武力攻撃が発生した事態」「武力攻撃のおそれのある事態」を「武力攻撃事態」と規定しています。そしてその「武力攻撃事態」に対して「対処措置」として「武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使」を行うとしています。
 つまり、日本に対する攻撃がある前の段階(「おそれ」の段階)から、自衛隊が先制的に武力を行使できるとされているのです。こんな法律がすでに成立してしまっているのです。
 だから、米国が先制攻撃で北朝鮮侵略戦争を発動した場合、戦争開始と同時に「北朝鮮からの反撃の恐れ」という理由で自衛隊も先制攻撃で侵略戦争に参戦することが合法となっています。


Q.戦争をやろうとしているのは北朝鮮じゃないの?

A.いいえ、戦争をやろうとしているのはアメリカの方であり、日本の方です。
 米ブッシュ政権はイラクに対して「大量破壊兵器」の口実をでっち上げて先制攻撃で侵略戦争を行っています。ブッシュは北朝鮮をイラクと並べて「悪の枢軸」と規定し、攻撃対象として名指ししており、北朝鮮に対しても口実をでっち上げてでも侵略戦争をやろうとしています。
 すでに、北朝鮮への戦争計画「作戦5027」は策定を終了しており、そこでは、小型核兵器を使った先制攻撃まで本気で検討されています。米軍は圧倒的戦力でイラクの人々を何万人も虐殺し、劣化ウラン弾で放射能をばら撒きました。北朝鮮に対しても一方的虐殺戦争として行おうとしています。また、朝鮮半島有事の際に行うとしていた米本土からの米軍司令部の日本への移設も発表されており、戦争の準備は着々と進んでいます日本もまた、昨年の有事3法成立で北朝鮮の準備を進めています
 イラクの戦争も石油などの利権のためでしたが、北朝鮮への戦争も日米欧の東アジアの市場奪い競争が背景にあります。アメリカは戦争でこの競争に勝とうとしており、日本もそれに割り込んでrいこうとしています。
 北朝鮮政権がどんなに独裁的でも、それを理由に日米が戦争を仕掛けるのは朝鮮の人々の民族自決権を否定するものであり、侵略戦争です。絶対に許されません。


Q.今国会に提出されている有事7法案で何が変わるの?

A.@まず第一に、北朝鮮侵略戦争体制が整い、すぐにでも戦争が始められるようになります。逆に、今回の法案ができないと、戦争体制が完成せず、戦争が始められないという問題です。
 7法案のひとつ、米軍活動円滑化法案は、米軍が日本を拠点にして自由に侵略戦争ができるようにする法律です。米軍展開や基地建設のために「土地・家屋の使用」ができるとしています(第11条)。また、自衛隊が米軍に軍事物資や役務を提供ができるようになります(第6条)。
 そして改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)によって自衛隊はこの米軍と一体で動くことになり、自衛隊も自由に行動ができることになります。
 また、交通・通信利用法案では「港湾施設・飛行場」「道路」「電波」「公共施設」などを軍事最優先で使用できるとしています。これにより、日本中の港や空港が出撃・兵站基地となり、道路も軍用車輌が一切に優先させられます。
 さらに、外国軍用品等海上輸送規制法案によって、日本の領海や周辺の公海を航行している船(中立国の船を含めて)に停船を求め、積荷や書類を検査する臨検に応じなければ、船体を打つ危害射撃が認められます。攻撃して沈没することもできるのです。


A第二に、改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)と米軍行動円滑化法案により、米軍が展開する地域ならいつでもどこでも、首相の判断ひとつで自衛隊が展開できるようになります。
 これまで日米共同訓練、PKO活動、周辺事態への対応のみだったACSAの適用範囲を、今回 (a)武力攻撃事態への対応、(b)国際平和のための活動と大規模災害 にも適用するよう範囲を拡大しました。
 これにより、イラクやアフガン、世界中で展開する米軍に自衛隊が「物品や役務を提供できる」ことになります。役務提供とは共同作戦を遂行するということです。米軍と共同でいつでもどこでも自衛隊が展開することが合法化されます。しかも、国会の手続きなど何もなく、ただ首相の判断だけでできるのです。


Q.法案のひとつである国民保護法制は「国民保護」だから必要なんじゃない?

A.「国民保護」は大ウソ。強制的に戦争に国民を協力させる法律です。
 国民保護法案は、あたかも外国の攻撃から日本の国民を守るための法案のように宣伝されていますが、実際は、自衛隊の戦闘行動の邪魔になる民間人を強制的に立ち退かせたり、物資を国家統制に置くものです。そして統制に従わない場合は「危険を生じさせるもの」として弾圧の対象としています(第66条)。
 そもそも、日米が侵略戦争を仕掛けようとするから、相手の反撃があるのです。今回の人質拘束事件で明らかなように、国民を危険にさらしているのは政府の側です。小泉政権は、石油や市場を奪い利権にありつくためなら国民の命などなんとも思っていません。沖縄戦で「軍隊は国民を守らない」ということが示されたように、戦争最優先、敵に勝つこと最優先で国民は戦争協力を強制されていきます。


Q.行動して何が変わるの?

A.労働者民衆の下からの行動が法案も戦争も阻止する力。今こそ行動を。
 小泉政権はまともな審議もなく、有事7法案を国会通過させようとしています。民主党も賛成しており、阻止するための大規模な行動が急速に必要です。
 有事法制で真っ先に戦争協力を強制される陸・海・空・港湾の運輸関係、医療・建設関係の労働組合が有事法制に反対して大きなネットワークをつくって活動しています。イラク開戦1周年の3月20日の、東京6万人、全国50万人の反戦行動の中心を担ったのもこうした労働組合です。こうした労働組合は「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」という原則を確立して大きな行動を取り組んでいます。
 また全国の学生や若者も昨年のイラク戦争以来戦争を止めるため行動に立ち上がっています。
 こうした労働者や民衆の下からの行動が、有事法制を阻止する最も大きな力です。
 今こそ行動に立ち上がろう。みんなの力で有事法制を阻止しよう。